リハビリのすゝめ

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治る患者さんは何をやっても治る⁈

はじめに

「治る患者さんは何をやっても治る」

 

これは講習会である講師の先生が言っていた言葉です.

 

もちろん最低限の知識を持ったうえで,という前提条件付きだとは思いますが,5年間の臨床経験で確かにそう感じることがあります.

 

この言葉を聞くと,「勉強してもしょうがないんじゃないかな…」と思ってしまう方もいるかもしれません.

 

今回は誤解されやすいこの言葉について考えていきます.

 

 

「治る」とは…

患者さんにとって「治る」とはどのように定義されているのでしょうか?

 

痛みが和らぐ,足腰の力がつく,歩けるようになる,トイレに行けるようになる,家に帰って日常生活が送れるようになる,職場に復帰する,スポーツ復帰する,好きだった趣味を続ける,・・・

 

色んな次元の「治る」があるとは思いますが,多くの場合「治る」は

 

「入院する前の状態に戻ること」が一般的かもしれません.

 

ですので,ある患者さんにとっての「治る」は車椅子生活で自力でトイレに行けるようになること

 

また別の患者さんにとっての「治る」は元々働いていたとんかつ屋さんへの職場復帰,かもしれません.

 

色々な「治る」があるかと思いますが,大枠は入院する前の日常生活で患者さんは何に価値を感じているか?

 

その価値を感じている事柄ができるようになること,が患者さんにとっての「治る」ではないでしょうか.

 

 

「治る患者さんは何をやっても治る」⁉

セラピストの方だと経験があると思いますが,

 

若くて,認知症がなくて,比較的重症度が低い患者さんはみるみるうちに元気になって退院していきます.

 

こんな患者さんばかりだったら僕らはすごく楽ですし,勉強する必要なんてないですよね.

 

ですが,実際の臨床では完全に入院する前の通りになる患者さんはかなり少ないです.

 

何かしらの身体機能の支障を抱えながら退院していきます.

 

身体機能に支障がある高齢者は,転倒事例が発生しやすくそのうち約10%は骨折に至るとされています.

 

そうなると再入院し場合によっては手術となり,また新たな身体機能の支障を抱えてしまい負のサイクルが出来上がってしまいます.

 

我々セラピストが知識と技術を発揮できるのは,

 

そういった「治らない患者さん」に直面した時 や 再入院しないための予防の視点を持つこと です.

 

 

おわりに

今回は「治る患者さんは何をやっても治る」という言葉について考えました.

 

 

確かにこの言葉を発した先生の言う通り,「何をやっても治る」例は経験的にも存在します.

 

しかし,実際は「治らない患者さん」が多いわけでそんな時にどのような対応が出来るか?

 

僕らが勉強していることはそういう時に活きてくるんじゃないでしょうか?