リハビリのすゝめ

リハビリ関連の知識を中心に発信しています.

経験値を積んでもらうリハビリテーションを提供しよう!

はじめに

 

リハビリ場面でよく見る流れ

 

プラットホームでマッサージやストレッチ → 筋トレ → 起立着座訓練 → 歩行訓練,…

 

私は職場を2か所しか知りませんが,臨床実習で勉強した3か所の実習地を含めて

 

非常に多くの患者さんがこの流れでリハビリを受けているように見受けられます.

 

今回は,リハビリテーション介入の中で私が最も重要だと考えている「経験を積むこと」についてまとめます.

 

治療的リハビリテーション

 

冒頭の「リハビリでよくみる流れ」を全否定しているわけではありません.

 

関節可動域制限や筋緊張の異常などをマッサージやストレッチ等で改善させた上で,

 

弱い筋肉に対して筋トレをする

 

動作指導と反復練習をする

 

これは痛みが出にくく,疲れにくい動作を獲得するために必要です.

 

現に,手術後で弱化している筋肉がある,まだ随意性が上がってこない段階で

 

代償動作を使いながらガンガン訓練していくのは如何なものでしょうか…

 

セラピストはただ立たせて歩かせればいいというものではありません.

 

安全で効率的な動作を獲得してもらうためのトレーニングを考えなければいけません.

 

そういう意味では,「リハビリでよくみる流れ」は

 

セラピスト側が提供する治療的なリハビリテーションという位置づけになると思います.

 

経験的リハビリテーション

治療的リハビリテーションが入院時の段階であればいいのですが,

 

退院が近いのに訓練内容が同じだったらどうでしょうか?

 

入院してから退院まで訓練内容がずっと同じ,

 

そういう人って周りにいませんか?

 

これでは患者さんのセラピストに対する依存度を増やすだけです.

 

退院してから患者さんはマッサージを受けてから買い物に行きますか?

 

病院の中のように平坦な床の上しか歩かないんですか?

 

疲れている時や体調が悪い時は歩きませんか?

 

転びそうになった時に対応することができますか?,・・・

 

治療的リハビリテーションは途中から

 

様々な経験を積んでもらう経験的リハビリテーションに切り替えなければいけません.

 

考えてみてください.

 

麻痺や障害を負った患者さんは入院する前とは違う身体です.

 

そのまま元の身体のように生活をすると,うまくいかなくて失敗してしまうことは目に見えています.

 

しかし,仮に失敗してもリスクを最小限に抑えることができるのは病院でリハビリをしている時です.

 

そして,その失敗から評価し治療的リハビリテーションに結び付けることができます.

 

マッサージして筋トレして歩く,そんなリハビリ介入では発見できないことがたくさんあります.

 

そういう経験を通して,患者さんは学習できるでしょうし,そこで得た発見を患者さんと共有して退院後の生活に活かすことってすごく大切なんじゃないでしょうか.

 

 おわりに

 今回は,リハビリテーション介入の中で僕が大事にしている考え方についてまとめました.

 

治療的リハビリテーションと経験値リハビリテーション

 

この二つは僕の造語ですが,前者だけでは退院してからの失敗は目に見えています.

 

入院中に様々な経験を積んで必要な時にセラピストがフォローする

 

これが,退院してから患者さんが困らないリハビリテーション介入なんじゃないかと考えています.

 

 

なんちゃってPTになるな!

はじめに

学生時代,養成校の先生から「なんちゃってPT」にならないようにね~と

 

指導されていました.

 

この言葉のもとを調べてみると,養成校の先生オリジナルではなくて,日本理学療法士協会の会長のお言葉だったんですね…

 

元々は「なんちゃってリハビリ」ということでしたが,

 

今回は「なんちゃってPTになるな!」について考えていきます.

 

「なんちゃってPT」とは?

協会の会長の言う「なんちゃってリハビリ」とは何なんでしょうか?

 

2013年発行のJPTA NEWSによると,

 

「なんちゃってリハビリ」とは,お散歩リハビリやマッサージ中心の介入のことのようです.

 

私も新人時代,そのような介入になっていたことがあり反省しかありませんし,

 

思い当たる節がある読者の方もいるかもしれませんね…

 

「なんちゃってリハビリ」がそのように定義されているのに対して,

 

養成校の先生の言葉「なんちゃってPT」は,

 

プラットホームに寝させてマッサージして筋トレして起立訓練して歩行訓練して,…

 

どの患者さんにも同じ介入になっているPTのことを指していると考えています.

 

このような介入では,患者さんがなぜ身体機能が向上し退院することができたのか?

 

理論的に考えることはできませんよね.

 

 

「なんちゃってPT」になるな!

上記のお散歩,マッサージを全否定するつもりは毛頭ありません.

 

重要なことは,その介入は何を目的に行われているか?

 

なぜ屋外歩行をするのか?

 

なぜその部分のマッサージをするのか?

 

そこに専門職としての思考過程が含まれていれば,僕は問題ないと考えています.

 

例えば屋外歩行であれば,

 

骨密度が低い,運動習慣が少ない,気分の沈み込みがある,などの方がいれば屋外歩行を選択しますし,

 

訓練中の耐久性や状況判断,疲れた時の患者さんの歩容の変化など観察・評価するポイントもたくさんあります.

 

お散歩リハビリなんて言わせません.

 

リハビリ介入は常に「なぜこの介入を行うか?」「この介入でどのような変化があるか?」

 

に留意しなければいけません.

 

 

おわりに

「なんちゃってPT」という言葉について考えていきました.

 

なぜこの訓練をしてるんですか?

 

なぜ患者さんは良くなったんですか?

 

これを専門職として明確に考え,答えることができないと「なんちゃって」烙印を押されてしまいます.

 

 

治る患者さんは何をやっても治る⁈

はじめに

「治る患者さんは何をやっても治る」

 

これは講習会である講師の先生が言っていた言葉です.

 

もちろん最低限の知識を持ったうえで,という前提条件付きだとは思いますが,5年間の臨床経験で確かにそう感じることがあります.

 

この言葉を聞くと,「勉強してもしょうがないんじゃないかな…」と思ってしまう方もいるかもしれません.

 

今回は誤解されやすいこの言葉について考えていきます.

 

 

「治る」とは…

患者さんにとって「治る」とはどのように定義されているのでしょうか?

 

痛みが和らぐ,足腰の力がつく,歩けるようになる,トイレに行けるようになる,家に帰って日常生活が送れるようになる,職場に復帰する,スポーツ復帰する,好きだった趣味を続ける,・・・

 

色んな次元の「治る」があるとは思いますが,多くの場合「治る」は

 

「入院する前の状態に戻ること」が一般的かもしれません.

 

ですので,ある患者さんにとっての「治る」は車椅子生活で自力でトイレに行けるようになること

 

また別の患者さんにとっての「治る」は元々働いていたとんかつ屋さんへの職場復帰,かもしれません.

 

色々な「治る」があるかと思いますが,大枠は入院する前の日常生活で患者さんは何に価値を感じているか?

 

その価値を感じている事柄ができるようになること,が患者さんにとっての「治る」ではないでしょうか.

 

 

「治る患者さんは何をやっても治る」⁉

セラピストの方だと経験があると思いますが,

 

若くて,認知症がなくて,比較的重症度が低い患者さんはみるみるうちに元気になって退院していきます.

 

こんな患者さんばかりだったら僕らはすごく楽ですし,勉強する必要なんてないですよね.

 

ですが,実際の臨床では完全に入院する前の通りになる患者さんはかなり少ないです.

 

何かしらの身体機能の支障を抱えながら退院していきます.

 

身体機能に支障がある高齢者は,転倒事例が発生しやすくそのうち約10%は骨折に至るとされています.

 

そうなると再入院し場合によっては手術となり,また新たな身体機能の支障を抱えてしまい負のサイクルが出来上がってしまいます.

 

我々セラピストが知識と技術を発揮できるのは,

 

そういった「治らない患者さん」に直面した時 や 再入院しないための予防の視点を持つこと です.

 

 

おわりに

今回は「治る患者さんは何をやっても治る」という言葉について考えました.

 

 

確かにこの言葉を発した先生の言う通り,「何をやっても治る」例は経験的にも存在します.

 

しかし,実際は「治らない患者さん」が多いわけでそんな時にどのような対応が出来るか?

 

僕らが勉強していることはそういう時に活きてくるんじゃないでしょうか?

その運動療法「得たい反応」は何ですか?

はじめに

 

リハビリテーションでは,患者さんもしくは利用者さんに対して運動を通して身体機能や動作能力を向上させる運動療法が用いられます.

 

運動のメリットは皆さん重々理解していると思いますが,

 

使いようによっては目的とする効果が出ない,もしくは悪化する場合があります.

 

今回は,運動療法を行う上で私が注意していることについてお話します.

 

どんな運動療法をしよう?

運動療法は,患者さんの身体機能や動作能力を向上させる目的で行います.

 

どのような運動を取り入れるかは,検査・評価をした上で問題となっている機能障害によって決まってきます.

 

運動の種類や強度,時間や頻度など様々な要素がありますので,セラピストは色んなトレーニング方法を知っておいて損はありません.

 

同じ中殿筋をトレーニングする方法にしても,

 

背臥位,腹臥位,座位,立位など多くの手札があった方が難易度の調整にも役立ちます.

 

手札を増やす手段としては論文を読むことです.

 

どんな体位でどんな強度でトレーニングを行うのが効果的なのか?

 

実際の患者さんにはどんな効果があるのか?

 

論文にはそれを知るヒントが詰まっています.

 

 

「得たい反応」を明確にする

検査・評価が正確で,それにマッチした運動療法を行ったとしても,

 

その運動を正しいフォームで行わなければ意味がありません.

 

実際に行う運動は患者さんにとっては難しい課題である場合もあります.

 

患者さんは苦手な動きに対して,代償動作をして巧みに ”見た目できている風” にしてきます.

 

私達セラピストは訓練中の代償動作を見逃さないようにしなければいけません.

 

そこで重要なのが「得たい反応」を明確にすることです.

 

視診だけでなく,触診もしながら「得たい反応」が得られているかを確認します.

 

もし得たい反応が得られていなければ,

 

患者さんが代償動作を使っている,もしくは

 

その運動課題が患者さんには難易度が高い

 

などが考えられますので別の方法で運動を考えていかなければいけません.

 

おわりに

運動療法に関する私の考えをまとめました.

 

一つの筋肉に対する様々なトレーニングを知識として持っておくこと,

 

実際にトレーニングをする際は「得たい反応」を明確にしておくことが大事です.

 

今やってるその運動療法,「得たい反応」は何ですか?

 

 

リハビリは薬だ!

はじめに

学生時代,リハビリテーション科医の先生の講義が通年ありました.

 

その講義の中で印象に残っている言葉があって,

 

それがタイトルの「リハビリは薬だ!」です.

 

当時はあまり理解できてなかったですが,経験年数が経つにつれてこの言葉の意味を実感しています.

 

今回の記事では,この言葉から運動処方について考えていきます.

 

リハビリは薬だ!


リハビリで行う運動が患者さん,利用者さんにいい影響を与えて

 

基本動作や応用動作能力が向上することは皆さんよく経験することでしょう.

 

しかし,リハビリでの運動が誤ったもの,もしくは患者さんにマッチしないものであれば

 

それは悪影響を与え,毒となるでしょう.

 

薬に主作用と副作用があるように

 

リハビリにも主作用と副作用があります.

 

薬剤師さんがお薬の知識が豊富であるのと同様に,

 

私達,セラピストは運動処方をする以上,その運動の主作用と副作用について理解しておかなければいけません.

 

 

用法と用量を考える

薬には用法と用量があります.

 

飲み方とどれくらい飲むか?ですね!

 

薬剤師さんに薬を説明をしてもらう時に「朝昼夜1錠ずつ飲んでくださいね」

 

このような説明を受ける方が多いと思います.

 

リハビリで行う運動も同じで,

 

運動の方法と運動の頻度を説明する必要があります.

 

「スクワット動作」を例に挙げると,

 

股関節の屈曲を強調するか,膝関節の屈曲を強調するかでターゲットとしている筋肉が違います.

 

また,運動の回数についても患者さんの体力や関節への負荷などを考慮して調整をしなければいけません.

 

薬を飲みすぎたら副作用が出るように

 

身体に良かれと思ってやっている運動もやりすぎると副作用が出てしまいます.

 

 

主作用と副作用を考える

運動を処方する時,主作用と副作用を頭に入れておかなければいけません.

 

先程の「スクワット」を例に挙げると,

 

膝関節の屈曲を強調させた場合は,膝関節伸展筋を活動的に使いますので

 

主作用は膝関節伸展筋の筋力アップです.

 

一方で,膝関節への負担を増加させるという副作用があるので注意しなければいけません.

 

また,リハビリで行う運動は患者さんが苦手とする動作が多いかと思います.

 

患者さん達は巧みに身体を使って,主作用で得たい反応とは別の動きをしてくるケースが多いです.

 

そのため,主作用である「得たい反応」を触診で確かめながら運動を行うことが重要だと考えています.

 

おわりに

「リハビリは薬だ!」について考えていきました.

 

身体に良かれと思ってやっているリハビリも使い方を間違えれば毒になります.

 

リハビリの用法・用量を守る

 

運動の主作用と副作用を頭に入れて「得たい反応」を明確にすることが我々セラピストに必須なんじゃないでしょうか?

 

 

動作分析から評価・治療を展開する②

動作観察 ≠ 動作分析

さあ患者さんの歩行を動作分析をしよう!

 

「初期接地で足関節底屈位,膝関節伸展位で爪先から接地し,荷重応答期では膝関節が過伸展して,・・・・・」

 

こんな感じの動作分析になっていませんか?

 

学生の頃も私もそうだったんですがこれは動作観察です.

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上の図のように「背中が曲がってるな」,「ふらふらしているな」,「つまずいてるな」というのも動作観察で,こういうのは素人でもできますよね.

 

動作観察は目で見てわかる情報なんです.

 

動作分析は動作観察からもう一歩踏み込んで,

「背中が曲がっている」原因は何だろう?

「ふらふらしている」原因は何だろう?

「つまずいている」原因は何だろう?

 

このように,動作分析は動作観察の情報から「なぜこの動作になっているのか?」を考えて検査することということができます.

 

動作分析のポイント

次に動作分析のポイントについてお話していきます.

 

動作分析とは動作観察の結果から機能障害を明確にする過程です.

 

動作分析を行う際のポイントは

① 正常動作のバイオメカニクスを理解する
② ①の知識から仮説を挙げる
③ ②で挙げた仮説の検証

この3つです.

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① 正常動作のバイオメカニクスを理解する

動作観察の結果だけでは,何が原因でそのような動作になっているかを理解することはできません.

 

そのためには正常動作のバイオメカニクスの理解が必須です.

 

寝返り・起き上がり・起立・着座・歩行の基本動作

食事・更衣・トイレ・入浴・階段などの日常生活動作

それぞれ動作にはバリエーションがあって,健常者であっても動作様式が違っています.

 

それでも正常動作の基本の「キ」を押さえておかないと,

なぜこの動作ができないのか?

この人はなぜこの動作様式を用いているのか?

を考えることができません.

 

以下に私が使っている書籍を提示しますので,気になる方は参考にしてみてください.

 

② ①の知識から仮説を挙げる

①の正常動作のバイオメカニクスを基に,動作観察の情報から「なぜこの動作になっているのか?」

 

について,機能レベルの問題点の仮説を挙げていきます.

 

例えば,歩行中の膝折れについて機能レベルの仮説を挙げていくと

初期接地で膝関節が伸展していない

大腿四頭筋の筋力低下

大殿筋の筋力低下

ヒラメ筋の筋力低下

立脚中期での足関節の過度な背屈,・・・

などなど,いくつかありますよね.

 

このように仮説を出来るだけ多く挙げられることがセラピストに必要なスキルになります.

 

③ ②で挙げた仮説の検証

②で挙げた仮説の検証をするために検査をします.

 

答え合わせの作業ですね.

 

ここで関節可動域,徒手筋力検査,感覚検査,バランス検査,・・・など種々の検査が登場します.

 

よく「患者さんの評価する」と言って上記のことをする人がいますが,それは検査です.

 

先程の歩行中の膝折れを例に挙げると,

初期接地で膝関節が伸展していない → 膝関節の関節可動域検査

大腿四頭筋の筋力低下 → 膝関節伸展筋のMMT

大殿筋の筋力低下 → 股関節伸展筋のMMT

ヒラメ筋の筋力低下 → 足関節底屈筋のMMT

みたいな感じですね.

 

検査をしてみて

股関節伸展筋の筋力低下と膝関節の伸展可動域制限があった場合,これが歩行中の膝折れの原因なのではないかと評価します.

 

動作分析を治療に展開する

以上のような動作分析を実施した上で,機能レベルの問題点に対して治療介入をしていきます.

 

先程の膝折れ歩行の例だと,

大殿筋の筋力低下と膝関節の伸展制限が原因として挙げられたためこの2つに対して治療介入していきます.

 

もちろん,筋力低下や関節可動域制限の原因についても分析して治療手段を選別していきます.

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ここで手技や理論が役立つんじゃないかな,と思います.

 

逆を言うと,動作分析ができないと手技や理論の使いようがないということです.

 

加齢や疾患によっては治療介入が困難なケースもありますので,その場合は動作分析を歩行補助具や福祉用具の選定にいかすことも必要になります.

 

このように動作分析は治療のみならず,代償手段を考える上でも重要なスキルになります.

 

おわりに

患者さんの動作レベルを向上させるために,動作のバイオメカニクスを理解しておくことは必要不可欠です.

 

動作分析がのコツは,①正常動作のバイオメカニクスを理解し,

患者さんの動作観察から②仮説を挙げられるようになることです.

 

本文ではありませんでしたが,自分の動作分析した結果を同僚や先輩後輩とシェアすることも上達の近道だと思います.

 

リハビリテーションの治療内容を決定していく中で,これらのプロセスは非常に重要なスキルだと考えています.

 

興味のある方は,動作のバイオメカニクスについて一緒に勉強してみませんか?

皆様のご意見・ご感想お待ちしております.

 

動作分析から評価・治療を展開する①

はじめに

皆さんは動作分析は得意ですか?

 

学生の頃の臨床実習で「動作分析ができません」と言われて,動作分析に苦手意識を持っているセラピストの方は多いんじゃないでしょうか?

 

私もその一人で症例レポートなんて赤だらけでした・・・

 

そもそも動作分析の必要性って何なんでしょうか?

 

動作分析ができたら何がいいんでしょうか?

 

このnoteを読むと,

● 動作のバイオメカニクスを勉強する理由がわかる

● 動作分析のコツがつかめる

● 動作分析から評価・治療を考えることができる

 

今回から2回に分けて「理学療法における動作分析の位置づけ」について私なりにお話していきます.

 

「動作のバイオメカニクス」を勉強するメリット

担当になった患者さんを治したい!と勉強に励む方が多いですよね.

 

この業界には色んな理論や手技があります.

 

私も新人の頃は「この手技を勉強したい!」と思ってましたし,多くの方も新人時代はそうだったんじゃないでしょうか?

 

しかし,最初に入職した老人保健施設・デイサービスでの経験をきっかけにそうじゃないな,・・・と思いました.

 

老健やデイサービスでのリハビリテーションの時間ってかなり短いんです.

 

その短くて限られた時間の中で効果を出さないといけない.

 

「利用者さんの動作のどこに問題があるのか?」を短時間で整理できないと効果が出せないんですよね.

 

つまり精度の高い動作分析ができるようになれば短時間でリハビリの効果が得られるじゃないか!

 

そう思って,手技や理論よりも動作分析ができるための「動作のバイオメカニクス」に重きを置いて勉強をし始めました.

 

「動作のバイオメカニクス」を理解することは,治療効果を高める一番の近道だと言えます.

 

リハビリテーションのゴール達成のためには・・・

患者さんが来たら自宅に退院するためのゴールを設定します.

 

そして多くの場合,ゴールの内容は

 

杖歩行自立,トイレ動作の自立,更衣動作の自立,・・・

といったように「ある動作レベルの獲得」じゃないでしょうか.

 

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そうなると「その動作がなぜできないのか?」「自立になるためには何が必要か?」を考えられる力が必要です.

 

立てないから立つ練習

歩けないから歩く練習,・・・

 

そんなリハビリは素人でもできますよね.

 

重要なことは,ゴール達成に必要な動作を分析して関節可動域制限や筋力低下,バランス障害など機能レベルの問題点を同定することです.

 

そのため,動作分析はリハビリの治療方針ともいえます.

 

これができるようになるためには「動作のバイオメカニクス」を理解する他に方法はありません.

 

おわりに

ここまで読んで,リハビリテーションのゴール達成のためには動作分析が必要不可欠だということがお分かり頂けたのではないでしょうか?

 

次回は動作分析の方法ついて詳細にお話していきたいと思います.